円形脱毛症って何?原因から治療まで解説!

ストレス治療

はじめに

円形脱毛症(alopecia areata:AA)は、類円形の脱毛斑を生じさせる後天性の脱毛症です。円形脱毛症は、毛髪が存在するあらゆる部位に発生する可能性があるもので、頭部に加えて体毛全体の毛が脱毛することもあります。この記事では、円形脱毛症の原因から治療までわかりやすく解説していきます。なお、円形脱毛症の治療は、すでに日本皮膚科学会からガイドラインが示されており、この記事はそのガイドラインに則って解説を行っています。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因は長年ストレスであると言われてきました。しかし、近年の医学では免疫異常であることが明らかとされています。以下では、医学的なエビデンスに基づいて円形脱毛症の原因と治療について解説していきましょう。

円形脱毛症の原因とは

 円形脱毛症はストレスが原因であると考えられてきました。しかし、最近の医学では、円形脱毛症の原因は免疫の異状によって生じることが明らかとされています。免疫に関わる遺伝子の異状を背景として、疲労や感染症など肉体的、精神的なストレスが引き金となり発症すると考えられていますが、実際には明確な原因が特定できないこともしばしば起こります。円形脱毛症を発症しやすい体質があって、ストレスが引き金となって発症するのです。

免疫に異状が発生すると、病原体などから身を護るために機能している免疫が自分自身を攻撃してしまいます。円形脱毛症では、免疫細胞の一種であるTリンパ球が頭皮の下にある毛根を異物とみなして攻撃してしまいます。その結果として、毛根の周りで炎症症状が起こって、毛が抜けてしまうのです。

円形脱毛症は主に4つのタイプに分類することができ、円形の脱毛が1、2箇所にできる単発型、円形の脱毛が3箇所以上にできる多発型、頭部全体が脱毛する全頭型、頭部に加え他の体毛も抜けていく汎発型(はんぱつがた)があります。

円形脱毛症は人種を問わずに発症する病気であり、また、男女の差や年齢の差はありません。脱毛の症状を放っておいたとしても自然に毛が生えてくることもありますが、多くの場合再発します。早めに治療を行っておくと、また髪の毛が生えてくることが多いので、専門知識のある医師にできるだけ早く相談することが大切です。

円形脱毛症の治療は?

 円形脱毛症の治療として行われているのは対症療法です。通常は、抗アレルギー薬を服用したり、免疫細胞の働きを抑えるステロイド薬を塗ったりすることによって治療が行われます。いずれの治療においても、Tリンパ球による自己免疫機能を抑えることが目的です。円形脱毛症は軽快と増悪を繰り返します。そのため、治療の効果が測定しづらくどのような治療が有効であるかの証拠が医学的に得られていません。また、日本の保険療法で認可されている薬が、実際の診療の現場ではあまり治療効果が実感できないことも少なくありません。

 円形脱毛症に対して、どのような治療に医学的に効果が認められるのかについては、日本皮膚科学会によるガイドラインによって示されています(下図)。

(出所:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

 この表で示されているように、円形脱毛症には、ステロイド局所注射療法・局所免疫療法・ステロイド外用療法が有用であることが示されています。他の治療方法が推奨されていないわけではありませんが、上記の3つ以外が最も円形脱毛症に効果があることが示されています。

おわりに

 円形脱毛症は従来ストレスが原因であると考えられてきましたが、最近の医学では、Tリンパ球が毛根の細胞を攻撃してしまうことで発症すると考えられています。円形脱毛症に対しては、ストレスは引き金に過ぎず、ストレスがなくとも発症する可能性があることをきちんと理解しておかなければなりません。治療方法についてはすでに医学的なエビデンスが蓄積されており、早期に治療を開始すれば快方に向かうことが多いです。そのため、円形脱毛症が疑われる場合には、早めに医療機関で治療を受けることが大切です。

 

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