髪の成長とヘアサイクルの関係性-髪の成長メカニズム-
はじめに
薄毛に悩みはじめたら、何か特別な対策をしなければならないと考えていませんか?効果的な対策のためには、専門医に相談することが一番ですが、髪の成長には普段の生活習慣も大きな関わりを持っています。髪の成長メカニズムを知っていれば、髪の良いことや悪いことも良く分かるようになって、効果的な薄毛対策ができるようになります。そこで、この記事では髪の成長メカニズムについてわかりやすく解説していきます。
髪の成長メカニズム
人間の髪の毛は、毎日のように抜け落ちています。日本人の平均的な毛髪の数は、およそ10万本と言われており、1日あたり50〰100本程度の髪が抜けると言われています。通常であれば再度髪は生えてきます。髪の毛が抜けてまた生えてくるというサイクルは「ヘアサイクル」と呼ばれ、このヘアサイクルを通じて、人間の髪の毛は成長していきます。しかしながら、このヘアサイクルはずっと同じように繰り返されるわけではありません。ヘアサイクルには寿命があるので、このサイクルもいつかは止まってしまうのです。
ヘアサイクルとは
ヘアサイクルには3つの段階があります(下図)。それが「成長期」「移行期」「休止期」です。髪が生えてから抜け落ちて再び生えてくるというこのサイクルは、生涯のうちに決められた回数しか繰り返さず、最後の周期を終えた時点で髪の毛を作る細胞が分裂を停止しまい、その毛根から髪の毛が生えてくることはなくなります。
ヘアサイクルの例
(アデランス「髪に関する総合情報webマガジン」https://www.aderans.co.jp/)
人間の髪は頭皮から出ている毛幹(毛髪)と、頭皮の中にある毛根とに分けることができ、髪の成長は毛根の先にある毛球(もうきゅう)が細胞分裂を繰り返すことによって成長していきます。毛球にある毛乳頭が、毛母細胞に対して成長を促したり、止めたりという指示を出す役割を担っています。髪の成長を促す指示が毛乳頭から出されると毛母細胞が分裂し、それが新しい毛髪となって古い毛髪を押し上げるようにして成長していきます。このとき押し上げられた古い毛髪が抜け落ちますが、新しい毛髪が成長することで元に戻るというサイクルを繰り返しています。このヘアサイクルは、平均して4〰6年の間で起こります。
男性型脱毛(AGA)はこのメカニズムがうまく機能せず、髪の成長期になっても毛髪が成長しないために薄毛となります。つまり、毛髪の数自体に変化はないものの、毛髪が長く、太く成長しないことによって薄毛が進行していきます。この現象は軟毛化と呼ばれ、ヘアサイクルの中で最も重要な成長期が数ヶ月〰1年程度と徐々に短くなってしまうことで、ヘアサイクルが短くなってしまいます。
ここで、毛根は胎児のときにお母さんのお腹の中にいる段階で完成するので、その数は生まれてから変わることはありません。お母さんのお腹の中にいる段階で毛根の数が決まるので、薄毛などの問題は遺伝的な要素が大きく関わっているとされているのです。
毛髪の成長メカニズム
「成長期」「移行期」「休止期」というヘアサイクルのうち、ほとんどの期間は毛母細胞が分裂して毛髪が成長する「成長期」に該当します。毛髪が成長期にある段階が長ければ長いほど毛髪は長く、太く成長していくことになります。その後、2〰3週間におよび毛髪の成長が止まる退行期を経て、休止期(数ヶ月)となると、毛根の位置が浅くなります。毛根の位置が浅くなると、その奥で新たに成長を始めた毛母細胞が分裂して毛髪となり、新しい髪が古い髪を押し出していきます。
おわりに
毛髪の成長にはヘアサイクルが大きく関わっていきます。毛髪の成長は毛乳頭という機関が重要な役割を担っており、その機関の命令を毛母細胞が受け取ることによって毛髪が成長します。したがって、ヘアサイクルがうまく機能しないと、AGAのような薄毛の症状が進行していくことになります。この意味で、正常なヘアサイクルが繰り返されるようにすることが薄毛対策として有効であると言えます。髪の成長とヘアサイクルの関係性をきちんと理解しておけば、有効な薄毛対策を行えるようになります。